多くのアンプシミュレーターやマルチエフェクターに搭載されているアンプの「名機」たち。しかし、その豊富な選択肢を前に「どのモデルがどんな音で、どんな歴史を持つのか」をイメージできず、音作りに活かしきれていないユーザーは少なくないであろう。本連載は、ギターアンプの誕生から現代に至るまでの進化の歴史を追いながら、各時代を象徴する代表的なアンプの音響的特徴、得意なジャンル、そしてそのアンプを愛用したアーティストの情報をまとめる。
多くのアンプシミュレーターやマルチエフェクターに搭載されているアンプの「名機」たち。しかし、その豊富な選択肢を前に「どのモデルがどんな音で、どんな歴史を持つのか」をイメージできず、音作りに活かしきれていないユーザーは少なくないであろう。本連載は、ギターアンプの誕生から現代に至るまでの進化の歴史を追いながら、各時代を象徴する代表的なアンプの音響的特徴、得意なジャンル、そしてそのアンプを愛用したアーティストの情報をまとめる。
Marshall以外の選択肢前章で論じたMarshallアンプが、1960年代後半から70年代にかけてハードロックのデファクトスタンダードとして君臨する一方、英国の音楽シーンでは、それとは異なる音響哲学に基づいたアンプリファイアが勃興していた。ロックミュージックが大音量化・多様化する中で、すべて
ガレージから生まれた第三の潮流前章で論じたMarshall-Soldanoの系譜が、英国アンプのDNAを基盤とした「ブリティッシュ・ハイゲイン」の王道であるならば、それと同時期に米国西海岸で独自の進化を遂げたのが、Mesa Boogie(メサ・ブギー)である。Mesa Boogieの歴史
メタルの深化と欧州の台頭1990年代に入り、ヘヴィミュージックはさらなる細分化と過激化の時代を迎えた。デスメタル、ブラックメタル、インダストリアル、ニューメタルといったサブジャンルが次々と生まれ、それらはギターサウンドに対し、かつてないレベルの「重さ(Heaviness)」と、リフの「分離の良さ
大音量化への要求と「壁」の出現1960年代中盤、ロックミュージックの表現形態は、ブルースロックから、よりラウドでアグレッシブなものへと急速に進化していた。コンサートの開催規模は拡大し、ドラムセットの音量も増大する中で、ギタリストは自らの音が埋もれないよう、アンプに対して更なる音量を要求した。
ブリティッシュ・サウンドの幕開け1950年代から60年代初頭にかけ、ロックンロールという新たな音楽が米国から英国へ波及した際、現地のミュージシャンたちは米国製Fenderアンプの強烈なサウンドに憧れを抱いた。しかし、当時の英国では戦後の輸入規制の影響により、これら米国製アンプは高価で入手困難な存
ブティックアンプという潮流1980年代後半から1990年代にかけ、ギターアンプリファイアの市場において、新たな潮流が明確に形成され始めた。それは「ブティックアンプ(Boutique Amplifier)」と呼ばれるムーブメントである。これは、FenderやMarshallといった大手メー