第10回:「鋼鉄の精神力」実践ワーク

これまでの9回にわたる連載で、精神の脆弱性の構造を解明し、それを克服するための論理体系を構築してきた。理論的な説明はこれをもって完結した。今回は、その理論と実践の間に橋を架ける、本プログラムの最終章である。

今回はこれまで学んだ全ての理論を元に、日常で使える具体的なスキルへと昇華させるための、統合的な実践ツールを提供する。

ワークシート1:他人との比較

Q1. 心の中で具体的にどのようなネガティブな他人との比較が生じたか
例:「あの人は成功しているのに、自分は…」など
【確認】現在比較している情報は、他人の人生の一面である。
【確認】自分と比較相手とは、前提条件、環境、機会が同じではない。
【確認】比較相手も普遍的で絶対的な状況が保証されているわけではない。
【確認】リンゴとオレンジの優劣比較と同様、比較に意味がない。
Q2. 自分が実現したいことは何か。
 

 

Q3. 実現したいことに関連して、自分はいままでどのような成長を遂げてきたか。
 

 

Q4. 改めて、これからどのような行動をしてゆくつもりか?
 

 

ワークシート2:過去への執着

Q1. いつまでも心に残っているネガティブな出来事とは何か?
 

 

【確認】特定の時点でのパフォーマンスが、不変の本質にはなり得ない。
【確認】期待通りにならなかった経験は極めて価値のある「データ」である。
Q2. その経験から得られる自分に対する教訓は何か?
 

 

Q3. それを踏まえ、これからどのような行動をしてゆくつもりか?
 

 

ワークシート3:未来への不安

Q1. 恐れていることは具体的にどのようなことか?
 

 

Q2. それが起きたことにより、最悪、どのような事態に発展すると想像できるか?
 

 

Q3. もしその最悪の事態が起きたとしたら、どのように対処するつもりか?
 

 

Q4. その最悪の事態が起こる確率は、客観的に考えて何%か?
Q5. その不安に対し、今すぐ取り掛かれることは何か?
 

 

ワークシート4:承認欲求

Q1. どのような他者からの評価が気になっているか?
 

 

【確認】評価は他者の主観(価値観、気分、利害)から出力された情報である。
【確認】評価者には、私の努力、背景、意図を完全に把握することはできない。
【確認】他人の主観が、自分の本質的価値を正確に反映することはあり得ない。
Q2. 「情報」に成長や改善に繋がる客観的なデータは含まれているか?具体的に何か?
 

 

Q3. 有益なデータがあった場合、どのような生かし方ができるか?

ワークシート5:完璧主義

Q1. もともと理想としていた状態や結果は何か?
 

 

Q2. 実際はどのような状況となっているか?
 

 

Q3. 現状までの過程で得られた有益なもの(情報、経験、知識、教訓)は何か?
 

 

Q4. それを踏まえ、次に向けてどのように計画するか?
 

 

おわりに

本稿をもって、「鋼鉄の精神力強化プログラム」の全講義を終了する。

提示された理論とツールは、精神的な脆弱性から自らを解放し、自己の価値を内側から確立するための、論理的な地図とコンパスである。しかし、地図を読むだけでは、目的地には到達できない。最終的に変化をもたらすのは、日々の地道な実践という一歩に他ならない。

このプログラムで習得したスキルは、誰にも奪うことのできない、一生涯の資産である。この知的武装を携え、自らの人生という航海を、より自由に、そして主体的に進んでいくことを期待したい。

でるたま~く

グローバル戦略の支援企業でCEOを務めています。英国で高校教師を務めた後、ドイツで物理学の研究を続けました。帰国後はR&D支援のマネージャー、IT企業の開発PMを経て現在に至ります。趣味はピアノとギター演奏。

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