本書において「独裁力」とは、「組織を率いて意思決定を行い、実行し、結果を出す力」として定義される。個人的な資質や倫理観とは切り離された、あくまで目的を達成するための「エンジニアリング」としてドライに捉えている。
そしてリーダーシップには「コンセプト力(構想力)」のみならず、実行するための「独裁力(組織を動かす力)」が必要であるという姿勢を示している。
本書では、独裁力を行使してゆくためのステップ「1. 安定的な権力基盤の構築」「2. 組織全体の動員力向上」についても具体的に語られている。(この部分は、メスキータとスミスという政治学者の書いた書籍『独裁者のためのハンドブック|亜紀書房 2013』 を参考としている。)
また細かな手段ではあるが、権力維持・強化のための手法(個人的な魅力、接待攻勢、隠れ蓑の活用、意図的な混乱創出、現場への介入、時間と場所の掌握、沈黙は金)についても、歴史上の独裁者の事例から考察が深めている。