Webサイトを運営する上で欠かせない独自ドメイン。その取得や運用には、レジストリとレジストラという重要な役割を担う組織の理解が不可欠です。この記事では、ドメインの基本的な概念から、取得・運用のための基礎知識までをわかりやすく解説します。
ドメインの取得・運用、Web制作会社任せで大丈夫?
新しいWebサイトを立ち上げる際、多くの人は独自ドメイン(例: example.com)を取得し、そのドメインでサイトを公開したいと考えるでしょう。ドメインの取得手続きや、取得したドメインとWebサーバーの連携設定は、通常はWeb制作会社が代行してくれるため、あなたが直接行う必要はありません。
ドメインの取得には、レジストリという組織への申請が必要です。そして、その申請はレジストラと呼ばれる特定の組織を介して行われます。Web制作会社にドメインの取得・運用を依頼する場合、彼らがこれらの手続きを代行してくれるのです。
しかし、何らかの理由でWebサイトの管理を別の会社へ移管したり、ご自身で運用したりすることになった場合、ドメインの契約更新などの管理も引き継ぐ必要があります。ドメインは通常1年ごとに更新が必要ですが、その仕組みを理解していないと、「誰が、どこで、どうやって管理しているのか」が分からず、更新漏れなどのトラブルにつながる可能性があります。
こうした事態を避けるためにも、ドメインの基本的な仕組みを理解しておきましょう。
そもそも「ドメイン」とは何か?
電話をかける際に電話番号がかける相手を特定するように、インターネットの世界でも「123.45.67.89」といった数字の組み合わせでコンピューターが特定されます。これがIPアドレスです。IPアドレスは、私たちがインターネットに接続する際に必要な識別子で、ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)という組織が管理しています。
Webサイトを閲覧する際、あなたのコンピューターは特定のIPアドレスを持つサーバーに情報を要求します。しかし、数字の羅列であるIPアドレスは、人間にとって覚えにくいものです。そこで、この番号の代わりに「覚えやすい名前」が必要になります。それがドメインです。ドメインは、インターネット上のコンピューターを特定するための名前であり、例えば「waruagaki.org」などがこれにあたります。
ドメインとIPアドレスが関連付けられている限り、たとえWebサイトのコンテンツが別のサーバーに移動しても、新しいIPアドレスとドメインをリンクさせれば、ユーザーは常に同じドメイン名で同じコンテンツにアクセスできます。
ドメインはどこで管理されているのか?
ドメインは、すでに誰かが使用していない限り、好きな文字列を申請できます。申請が承認されると、そのドメインの所有者となります。
ドメインの申請先はレジストリと呼ばれる機関です。レジストリでは、ドメインの所有者情報や、IPアドレスとドメインを関連付けるネームサーバーの情報が管理されています。
レジストリは、.comや.net、.jpといったトップレベルドメインごとに存在します。
ドメインを申請する方法について
リセラーの役割と代表的な組織
ドメインの申請は、レジストラだけでなく、レジストラと契約している代理店である「リセラー」からも行うことができます。リセラーはドメインの申請受付や代金の回収を担当しますが、実際の管理や登録は上記のレジストラを通じて行われます。
代表的なリセラーの例としては、以下の会社があります(2018年04月29日現在):
- さくらインターネット株式会社
- GMOデジロック株式会社
- 株式会社エヌ・ティ・ティピー・シーコミュニケーションズ
- エックスサーバー株式会社
- GMOペパボ株式会社
どこでドメインを申し込むのが良いのか?
新しいウェブサイトを制作する際、ドメインの取得や管理も含めて全てをウェブ制作会社に任せることが一般的です。そのため、ユーザーから見ると申し込み先はウェブ制作会社になります。ただし、ウェブ制作会社が正規のリセラーまたはレジストラでない場合、実際にはウェブ制作会社がリセラーやレジストラへの申請を代行しています。ドメインの所有権はユーザーにありますので、手続きを任せる場合でも、どこのリセラーまたはレジストラを利用しているかを把握しておくことが重要です。この情報がないと、ドメインの契約更新や別の会社に管理を移すことが難しくなります。
新しいWebサイトを制作する際、ドメインの取得や管理も含めて全てをWeb制作会社に任せるのが一般的です。そのため、ユーザーから見ると申し込み先はWeb制作会社になります。しかし、Web制作会社が正規のリセラーまたはレジストラでない場合、実際にはWeb制作会社がリセラーやレジストラへの申請を代行しています。ドメインの所有権はユーザーにありますので、手続きを任せる場合でも、どこのリセラーまたはレジストラを利用しているかを把握しておくことは重要です。この情報がないと、ドメインの契約更新や別の会社への管理移管が難しくなる可能性があります。
ドメインに関する組織構造を理解すると、「直接的なレジストラと契約する方が安心で料金的にも有利なのでは?」と考えるかもしれません。しかし、実際には必ずしもそうとは限りません。
リセラーは、ドメインとWebサーバーのサービスを一緒に提供することが多く、ドメインとサーバーをまとめて契約すると割引価格が適用されることがあります。また、その場合、ドメインとサーバーの設定が簡略化されていることも少なくありません。これらのメリットをよく考慮して、あなたの状況に合った申し込み先を選びましょう。
(参考)このサイトの運用例
ちなみに、当サイトは「スタードメイン」でドメインを取得し、「スターサーバー」でサイトを運用しています。以前は別のサービスを利用していましたが、現在の構成では、サーバー契約にドメインの無料特典が付いており、年間のドメイン費用(.org:1,630円/年)のみで運用できています。(※2023年7月時点の情報)
このように、サーバーとドメインの組み合わせによって、運用コストは大きく変わります。
※上記の料金はあくまで一例です。ドメインの種類や契約時期によって価格は変動しますので、最新の情報は必ず各サービスの公式サイトでご確認ください。
まとめ
最後に、この記事の要点をまとめます。
- ドメインは、数字でできたIPアドレスを分かりやすい名前に変換したもの。
- ドメイン情報は、「.com」などを管理するレジストリという組織がデータベースで保管している。
- ドメインの申し込みは、レジストラ(登録事業者)またはリセラー(代理店)を通じて行う。
- 契約先を選ぶ際は、料金だけでなく、サーバーとのセット割引や管理のしやすさも考慮するのがおすすめ。
ドメインの裏側にある仕組みを知ることで、より安心してウェブサイトを運用できるようになります。ぜひ、ご自身のドメイン管理状況を確認してみてください。